おでこの怪我・・・幸福のしるし

  2歳になっていないだろうと思う。古いアルバムを見ると、私のおでこに十円玉くらいの擦り傷があって、モノクロ写真の中で、白いおでこの中に黒く目立っている。

 私が転んで、おでこに怪我をし、(鼻でなくておでこであるのがちょっと切ない)泣いていると、祖母がやってきて大騒ぎをする。
「まあ!!、女の子の顔に傷がついて!!お嫁に行けんようになったらどうするの!!」

 何のことやらよく分からないまま、お嫁に行けんという重大な災いが私の身に降りかかったことに、私は恐れ慄いた。
 そばで母がオロオロしている。
 祖母はまだ、
 「女の子の顔に・・・・。」
と言い続けている。

 よほど大変な、取り返しのつかないことが起こったに違いない。私の人生はもう終わってしまったのかもしれない。

 そこへフラっと父が通りかかり、
 「どないしたんや。デコ擦りむいたんか。どこにおってもうちの子やいうしるしになって、すぐわかってええがな。よかった、よかった。」
と言って、向こうへ行ってしまった。

 私は、さっき戦慄した出来事を父が喜んでいるように思え、たちまち幸せな気分になった。幸運なことが私に起こったような気がした。

 私しか覚えていないエピソードであり、なぜか写真も残っているので、あとで作られた記憶でも、夢の中の出来事でもない。私の最も古い記憶である。

 そして未だに、「お嫁に行けん」ことは、幸運なことなのか不運なことなのか不明なのである。
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by mayumi-senba | 2004-04-28 12:56 | 自分のこと
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