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一山のゴミ

 もう十年位前かもしれない。

 そのころうちの向かいには木工所があって、木工所の奥様は、うちとその木工所との間の道路をいつもきれいに掃いてくださった。木屑が確かに飛んでくるが、それがたまる間が無いほどきれいにしてくれていて、私は申し訳ないくらいだった。

 その木工所の社長が所有するアパートが近所にあって、当時そのアパートの住人のごみ収集場所がその木工所の片隅だった。

 ある日、見たことのない50年配のご夫婦が、その場所に黒いゴミ袋に詰めたごみを捨てている。最初は気にならなかったが、そのゴミだしがいつまでたっても終わらず、ついには小山のようになるに及んで、私は言った。本当にすごい量だった。

 「今日はゴミ出し日ではないし、それでも少しならご事情もあるでしょうけど、ちょっとその量ではここの車の出入りにも邪魔になりますから、お考えいただけませんか。」

 するとその奥さんと思われるほうの人が言った。

 「息子の部屋がゴミだらけなんです。放っておくといつまでも捨てないので仕方なくこうやって捨てに来たんです。」

 「それなら、お部屋においておかれて、あさっての朝に息子さんに出させたらいかがですか。少しずつ出すのがいいでしょうけど、まあ、当日ならそんなに迷惑にもならないと思いますけど。」
と私が言うと、

 「息子は捨てないんです。」

 だんだん腹が立ってきて、
 「捨てなくてもいいんじゃないですか?」

 「捨てないとうちの子は死んでしまいます!!」

 「一人暮らしをしていてゴミを捨てられ無くて埋もれて死んでしまうような子なら、死んだらいいじゃないですか?
 それとも、何か体にご不自由がおありですか。それなら普段のゴミ出しくらい私も手伝いますよ。
 大家さんだって、こんなことされたら迷惑だと思いますよ。大家さんはアパートをかしてるだけでしょう?」

 すると、今まで黙って聞いていた夫と思われる男性が、
 「この人の言うとおりだ。持って帰ろう。」
と言って自分たちの車にゴミを積み始めた。もちろん1回で運び出せる量ではない。
 奥さんは、不満そうだったが夫の言葉に従った。

 気分のいいことではなかった。
 ご立派なことを言えるような人間では、私は無いのだ。似合わない。
 子どものころから、親戚中から「我が強くて嫁の貰い手がない」などと言われている。
 あんたにだけは言われたくないと思うおばさんも言う。

 うちにも息子はいる。
 今は寮暮らし。
 人様に迷惑をかけないでいるとは思わない。かけてばっかりだとも思わない。
 思わないが、息子よ、赤の他人に言われたら、しっかり聞いて考えなさい。

 時には八つ当たりのようなこともあるけれど、言いたくて言う人ばかりではない。
 「迷惑だ」と言われたら、そこからでも遅くないから考えなさい。
 

 

 
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by mayumi-senba | 2005-12-09 23:54 | 世間のこと
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