マキャベリを読んでおくといい

 エチカ。(倫理の問題)

 息子が本を読むようになってから、折に触れて言ってきたことがある。

 「マキャベリを読んでおくといい。」

 人は支配されながら片方で誰かを支配している。
 支配されながらも支配しているという自覚が必要だ。

 他者から支配されたり、望むと望まざるとにかかわらず支配せざるを得ない場合がある。
 どちらの立場に立ったときにも、その他者との関係の中に互いに毒があることを知っていてほしい。それはそれぞれの弱さと言い換えてもいい。悪意は弱さの裏返しだと思うのだ。

 マキャベリは、人がどこか心の奥深くで知っていることを驚くほど馬鹿正直にわかりやすく言葉にしている。邪悪さ、弱さ、愚かしさ。

 望むらくは、そんなことは百も承知でいながら、その毒を飲み込み、抱え持ちながら包み込んでしまうような大きさで、その他者との信頼関係を築いたり保ったりできる人になってほしいと思うのだ。互いの幸福のために。

  「マキャベリを読んでおくといい。」
と初めて息子に伝えたのは、まだ小学生のころだ。もちろん、彼がすぐに読むとは思っていなかったが、本屋で眼にした時に手に取る日が来るだろう。わたしの本棚から取り出す日が来るかもしれない。もう読んでいるかも知れない。

 親の望みは果てがない。
 自重が必要かもしれない。
 
[PR]
by mayumi-senba | 2006-01-30 23:28 | 息子
<< 死ぬ準備 生きてます。 >>