絵本が嫌いな子ども

 「子どもはみんな、読み聞かせが好き。」

 善意なんだろうと思うが、母親となってから何度聞かされただろう。私も、そうなんだろうと思っていた。

 息子が言葉を発し始めたころ、夜寝る前に、絵本を読んで聞かせよう、きっと喜ぶに違いない、と考え、「いないいないばあ」や、「ねないこだれだ」など、読んでみた。

 しかし私がそれを始めると、息子は私から絵本を取り上げて、
 「ポイ。」
といって、ゴミ箱に投げ入れる。そして、私にせがむのは、激しく振り回したり、高い高い、をしたり、とにかく体を動かすこと。それか、自分ひとりで遊び続けること。
 絵本を読んで喜ぶ日は、3歳になっても5歳になってもいっこう訪れなかった。そしてついに今に至るのである。

 私の読み方が悪いんだろうか、子どもはみんな絵本が好きだと、みんな口をそろえるように言うし。と私らしくもなく、悩む夜もあった。

 しかしある日、そういえば私もそんなに絵本が好きでなかったことに気がついた。子ども心に、なんかうそ臭い感じが嫌だった。それよりは外で遊ぶこと、親に怒られるぎりぎりの時間まで、そとで遊んで、うちで遊んで、遊んで遊んで、そして、ご飯を食べてお風呂に入って寝てしまう。

 息子は私の子どものころに似ていることに気がついた。それから楽になった。

 私はファンタジーや小説を受け付けない子だった。それはどうしても誰かが作った作り物の世界だから。実在の人物が出てくる歴史ものなら、子どもの目には本当のことのように思えるので、これは受け付けられる。未熟なリアリストだった。

 いつごろかファンタジーや小説に真実があることを知り、味わうことができるようになった。それはもう、いい大人になってからだ。晩生といえば晩生だ。

 そしていま、息子も活字が好きで、ジャンルを問わず読んでいる。小説も好きなようだ。

 読書好きがいいことかどうか、それは分からない。しかし、絵本が嫌いだった息子は今、本の虫である。

 こうすればこうなる、という物言いには、役に立つ物も多いが、振り回されることもないのだと思う。若い母親に浴びせかけられるものには、罪作りなものが特に多いように思う。


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by mayumi-senba | 2004-05-24 23:48 | 息子
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