「僕んち、借金があるの?」

 「僕んち、貧乏?」
と、息子が不安げに聞いたことがあった。
 小学校低学年のころ。

 「貧乏?お金持ちじゃないけど、貧乏ということもないと思うけど・・・。」
 「僕んち、借金があるの?」
 「うん、このおうちを買ったときに、お金を借りて、今も毎月少しずつ払ってるよ。」
 「え、借金があるの?」
 
 「誰かに何か言われたの?」
 「うん。」
 「お金持ちじゃないけど、お父さんもお母さんも、ちゃんと働いて毎月返していってるよ。だから大丈夫。」
 「・・・・・・・・・・・・・。」

 息子は腑に落ちていない様子だった。

 息子は、ほとんど全員が基準服と呼ばれる紺色の上下を着る学校で、
 「痒くて我慢できないから。半ズボンは遊んでいるときに、足がすれて痛いから。」
ということで、基準服は買ってあるにもかかわらず、自由服で通っていた。
 そのために上級生などから貧乏だと言われたらしい。

 自分が基準服を着ないことと、「貧乏」と言われることがどうしても結びつかないようだ。
 子どもって不思議な生き物だと、このときも思った。

 つい最近になって、そのことを思い出し、息子に憶えてるか聞いてみた。

 「うん。あれはね、テレビで借金取りが押しかけてきたところを見て、うちが貧乏で借金があったらどうしようかと思ったから。」
と笑いながら答えた。
 上級生に言われたことは覚えていないらしい。とにかくうちにも借金があるということで、結構長い間、借金取りがいつ来るかとおびえていたらしい。

 その、怖さに怯えていながら、それでも毎日毎日、遊びに遊んで毎日を過ごしていた息子の姿を思い浮かべると、目の前にいる息子が少し頼もしく思えた。
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by mayumi-senba | 2004-06-12 14:11 | 息子
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