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男だと思うように

 少し前、久しぶりに実家に帰り、父と話が弾み、明け方まで話してしまった。

 父は、祖父や祖母、そして自分の若いころのことを話してくれた。いままでに結構聞いてきたつもりだったが、私がこの年齢になったからこそ、ということもあったのか、私自身子どもなりに見てきたことの、大人側の事情を話してくれたりした。

 子どもなりの推量があたっていたこともあり、また、大人になってから、
 「こういうことだったのかな。」
と思ったことが、あたっていることもあり、また、まったく別の事情があったということがわかったりした。

 そんな中で、腎移植の話題が出た。

 父は腎不全で、かなり厳しい食事制限に耐え、薬を飲んでいる。
 「栄養士の先生が励ましてくれるから、がんばれるで。」
と言った。そして私に、
 「腎移植についてどう思うか。」
と問う。もちろん、腎移植一般のことではない。病腎移植についてである。

 私は、
 「まだ真相が明らかになっていないし、自分の意見として答えられる段階にない。けど、あの先生を責める気にはなれない。
 ただ、移植医療そのものに対する懐疑はある。」
といって、その制度上の理由を幾つか述べた。海外で起こっていることも。

 父は、
 「そうか、そんな問題があるのか。」
と言い、
 「自分はもう年も年だからいいけど、若くて腎臓の悪い子は、ほんまにかわいそうやな。」
と続けた。

 そして次の話題になり、また別の話題へと移り、何の話のときだったか忘れたが、
 「お前のことは男だと思うように、いつもお母さんには言い聞かしてるよ。」
と父は言った。

 父と母にとって、私のことを男だと思うほうが心の収まりがいいのだ。

 寂しい思いをさせているには違いない。



 
by mayumi-senba | 2007-03-26 19:28 | その他
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