好き嫌いと長生き

 息子はよちよち歩きのころ、毎日一本ずつ生のきゅうりをそのまま齧るのが日課だった。

 そんな息子が保育園のころから、きゅうりをまったく食べなくなった。もう一生分食べてしまったんだと思って、私はあまり気にしていなかった。

 そのころから、息子はピーマンやにんじん、青菜なども食べなくなっていった。

 私は子どものころ魚が苦手で、鮭くらいしか食べなかったが、今では何でも食べる。
 息子の好き嫌いは少しずつでもいいから直していこうと思った。

 ある日主婦雑誌を見ると、節約が大流行で、必要に迫られてというより、マニアと呼んでいいような人たちが紹介されていたが、彼女たちは卵をよく使っている。
 それに比べると、我が家の卵の消費量は驚くほど少ない。

 ここで疑念が湧いてきた。
 そういえば私は卵料理を好まない。
 私は自分で好き嫌いがないと思っていたが、実は、自分の嫌いなものは作っていないので、
 「我が家の食卓には嫌いなものはない。」
というのが、正確なんじゃないのか。

 考えてみれば、カレーを作ることがほとんどない。そうめんもしつこくリクエストがあって初めて作る。
 パイやクリームソースのパスタは頼まれたって食べない。
 赤飯も絶対食べない。

 それに比べると、鳥の皮を使った料理、ブロッコリーの芯、うり、蛸、など、私の好きなものの登場回数は圧倒的に多い。
 そして息子に、
 「好き嫌いをしてはいけません。」
と言っていた。

 そのことに気がついたとき、息子に、
 「もしかしたら母さんは、嫌いなものを作らないから嫌いなものがないだけかもしれない。」
と言った。息子は、キョトンとしていた。

 意外なことに、息子はそれについては私を責めることなく、そのころからだんだん青菜やたまねぎ、ピーマンなど、どんな野菜も食べるようになっていった。

 女が長生きなのは、もしかしたら自分の体が欲するものを自然に毎日食べているからではないのかな、と、ふと思った。
 
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by mayumi-senba | 2004-07-24 14:57 | 自分のこと
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