カテゴリ:息子( 41 )

寿退社とオレオレ詐欺

アメリカに留学中の息子からは、週に1度ほど電話がかかってくる。
 食べ物のまずさが想像を絶する。肉はなんとなく肉だということがわかるけど、その傍に添えられていたりまとわりついているものがいったい何なのか、得体が知れない。野菜かもしれない。

らしい。
それ以外は、結構エンジョイしている。友達と夜更かししたら、コーヒーメーカーを取り上げられた。

らしい。
寮の管理をしているおじさんが、寿退社するらしい。いい人だったので、ちょっと寂しい。

などと変なことというので、よくよく聞いてみると、定年退職とともに結婚するらしい。紛らわしいことを言うな!
ふと気が向いてばあちゃんちに電話したら、オレオレ詐欺に間違えられた。

 母から電話があって、
 「オレオレ詐欺と間違えたんじゃないよ。違うよ。そう言っといてね。」
とあわてている。母の慌てる姿を想像すると、ちょっと気の毒でかわいらしい。

 「帰国した時にもらうお小遣いのための布石に違いないから。」
というと、
 「ああ、そうか。」
と納得する。お金を取られることに違いはないのに、ホッとして、そして喜んでいる。

 結構いい味のおばあちゃんになったんだな、と生意気な娘は思ったのです。
[PR]
by mayumi-senba | 2004-10-22 21:24 | 息子

網タイツは効果的

 息子がまだ小学生のころ、よれよれのTシャツが好きだった。
 よれよれになればなるほど愛着が湧くらしく、襟ぐりがべろーんとなったものを好んできていた。

 そんな時、夫の職場で、家族参加のボーリング大会があり、夫は少々ボーリングが得意な息子を連れて行こうとした。しかし、夫としては、他の人の手前、襟ぐりがべろーんとなったTシャツを息子に着てこられると困るらしく、
 「パリっとした格好をして来なさい。」
と言った。すると息子は、
 「それなら、いかない。」
と言い放った。夫がなんと言おうと、いやだと言って聞かない。

 息子としては父親の顔を立てるために、そんなに行きたくもないボーリングに行くのに、襟ぐりがべろーんとなったTシャツを、わざわざ生地のしっかりした上等のトレーナーに着替えるのは不本意なことであるらしかった。
 「見たいテレビもあるのに付き合うのだから、着るものまでうるさいことを言ってくれるな。」
ということであるらしい。

 私は、夫の気持ちも充分すぎるほどわかるので、
 「お父さんにも面子というものがあって、お父さんの面子を立てるために行くんだから、ここはひとつ、パリっとしていきなさい。」
といってみたが駄目だった。

 私もだんだん腹が立ってきて、
 「お父さんのお付き合いの中に入るんだから、お父さんの面子を立てなさい。それができないんだったら、母さんもあんたの友達に対する面子を考えないよ。なんだったら、参観日に網タイツはいてミニスカートで行こうか。友達はなんて言うかな。面白いな。」
と言ってやった。

 それでやっと、息子は、不承々々パリっとした格好をして、夫に連れられてボーリングに行った。

 ボーリング場では、若い女の子にちやほやされてそれなりに楽しかったらしく、満足げな顔で帰ってきた。
[PR]
by mayumi-senba | 2004-10-04 23:17 | 息子

2万円安い犬

 我が家の愛犬、シーズーがやってきて6ヶ月になる。彼女も生後9ヶ月になった。

 彼女を買ったショップよりも近いところ、とにかくうちのすぐ近所にもペットショップができている。そこに餌を買いにいったら、彼女の小さなころにそっくりなシーズーのメスが一頭、ガラスケースの中からじっと店員の動きを目で追っていて、可愛くていたたまれなくなった。

 ガラスケースに張られているプライスカードを見ると、我が家の娘よりも2万円ほど高い。
 これはちょっと複雑。

 この子も可愛いけど、うちの子の方が少し可愛いような気がする。動きだって微妙に可愛かった。なのにうちの子のほうが安いの?
 まあ、安く買えたんだと、ポジティブ・シンキング。

 プライスカードの隣にあるもう一枚のカードを見ると、店長からのメッセージが書かれていて、次のようなことが書かれてあった。

 
・・・・・・愛くるしい瞳で見上げられるとたまりません。あまり賢いほうではありませんが、・・・・・


 確かに、確かにそうなんです。トイレのしつけが結構時間がかかりました。でもね、でも、私は他人にそういうけど、他の人には言われたくないな。

 それに、うちの子は微妙に賢い。
 おしっこをちゃんとトイレでしたときに、おやつをあげるようにしたら、すぐにするようになった。そしてしばらくしておやつをあげなくなると、トイレのすぐ近くでこれ見よがしにおしっこする。そして、私がタオルを持っていくと逃げる。

 で、今度はちゃんとする。そしておやつの場所まで行ってくるくる回る。

 いまもまだ、時々、わざとらしく失敗する。
 賢いってば、賢いような気がする。
[PR]
by mayumi-senba | 2004-10-01 21:53 | 息子

地球儀の災難

 自慢をした直後になんですが・・・・。

 息子が3歳の誕生日を迎えたころ、私は、その誕生日を祝った後に、自分にも何かご褒美を、と思って、地球儀を買うことにした。

 私は地理が小学生のころから大きらいで、教科書も地図もまっさらのままその使命を終えるような子だった。

 「出身は北九州。」
といった人に、
 「そんなんアバウトすぎ。せめて県名ぐらい教えて。」
といって、目を点にさせたことがあるぐらい。

 市だと教えられてから、そういえばどっかでそんな偉そうな名前聞いたことがあるな、という程度。(北九州の人、すみません)

 地球儀が欲しくなったのは、
 「世界は広いな、海は大きいな。」
と、ぼんやり眺めたり、クリスマス諸島や天智海山など、面白い地名を見つけたりするのが子どものころに楽しかったのを思い出したからだ。

 ちょっと奮発して、リプルーグルの”ワールド・クラシック・シリーズ リノックス型
を買った。

 その後何ヶ月たったころだろうか、ソ連崩壊というとんでもないことが起こった。その一年前には東西ドイツ統一というこれまたすごいことが起こっている。

 私は、自分の地球儀に、「ひとつのドイツ」と「ソビエト連邦」が記載されていることに気がついて、心が躍った。1990年10月3日以降1991年12月末以内の約1年二ヶ月の間にだけ生産された貴重品、ということになる。
 思わず何人かの友人と夫に自慢した。そして、見るたびに、頬が緩む。だからどうした、といわれたら困るけど。

 そして月日がたち、息子が小学校の中学年になったころ、その地球儀に興味を持ち始めしきりに眺めたりまわしたりしているのを見て、きっと私と同じような楽しみ方をしているに違いないと感じた。変わった名前を見つけては面白がっている。

 私は息子にその地球儀がいかに貴重な物であるかということを得意になって説明した。そしておもむろに地球儀をまわしていると、・・・・・・・・・・・赤いボールペンで地名が丸に囲まれている。しかも何が面白いのかニューイングランド海山列

 思わず
 「アホー!!」
と叫んだが、虚しい叫びだった。

 息子が旅立ち、息子の部屋にあった地球儀を眺めていると、太平洋と大西洋に一片ずつセロテープが張られている。このテープがなぜ必要なのか、私はもはや知りたくない。

 太平洋を越えて私のこの叫びが届いているだろうか。
 「ドアホ!!」 a0011256_10591840.jpg
[PR]
by mayumi-senba | 2004-08-31 07:02 | 息子

あなたらしく・・・。

 ある日テレビで、新宿のホームレスの人たちについての番組を一緒に見ているとき、息子がボソッと言った。

 「あのダンボールの家は、ものすごく頑丈にできている。」

 私は息子がどうしてそんなことを知っているのか訝しくおもい、何故なのか尋ねると、

 「広島にもダンボールに住んでいるホームレスのおじさんがいて、ボク、どんな風になっているのか教えてもらおうと思って、ビールを買って持っていったんだ。そしたらオジさんがご機嫌で教えてくれたんだ。
 あのダンボールは二重になっていて、その間に新聞紙が貼り付けられている。そうすると、ダンボールがものすごく強くなって、そして部屋の中が暖かくなる。
 ボク、触ってみたら、カチカチだったよ。」

 私は中学生が大人にビールを持っていくことが、とても失礼なことのように思ったし、場合によっては危険なことでもあると思った。

 しかし、妙なことに疑問を持つその才能を、私は大事にしたいと思っている。

 アメリカでは、もう少しだけ気をつけて欲しい。
[PR]
by mayumi-senba | 2004-08-27 20:20 | 息子

旅立ち

 今日、息子がアメリカに向けて旅立ちました。

 寂しくないといえば嘘になりますが、不思議と心配はしていません。

 楽天家で、好奇心が強いわりに、妙なところでとても臆病だからです。
 
 小さなころからどこにでも入り込んでしまうわりには、低い段差も後ろ向きに下りるところや、いまだにタバコの副流煙を極端に避けるなど、アンバランスながら、身を守ることについては細心だからです。

 本人も
 「ボクは臆病だから。」
と、そう言っているのだからそうなんでしょう。

 今までにもう相当楽しませてもらったのだから、この淋しさとは仲良く付き合っていきたいと思います。

 

 
[PR]
by mayumi-senba | 2004-08-27 19:55 | 息子

ボクじゃないマーク

 工事現場の入り口付近に、ヘルメットをかぶったおじさんが両手の掌を思い切り前に突き出しているイラストを見たことがありませんか。たいてい、立ち入り禁止なんかと書かれている。

 こんなの

 息子が保育園に通っているころ、いつもなら自転車の後ろに乗せて、サーっと連れて帰ってしまわないと、5分で帰れるところが1時間以上かかってしまう。しかし私の気分にゆとりがあったのか、ある日、二人で歩いて帰ることにした。

 案の定、ここで座り込み、何かを眺める。やっと立ち上がったかと思うと、3歩ぐらい先でまた座り込んで、小石を拾ったりし始める。いい加減イヤになるころ、工事現場の前を通りかかった。

 例のあのイラストを発見して、食い入るように見つめる息子。

 私はそのイラストの何がそれほど彼を魅了するのかと思いながら、立ちすくむ息子を眺めていた。

 すると息子は私のほうを見て言ったのです。
 「ママ、あのおじさん、ボクじゃない!ボクじゃない!って言ってるの?」

 あの絵を見てそう感じる息子は、それまでのわずか3、4年余りの人生の間に、いったい何度その言葉を発してきたのでしょうか。

 

 a0011256_0182491.jpg
[PR]
by mayumi-senba | 2004-08-19 04:33 | 息子

強い、ということ。

息子を守れる範囲

息子がまだよちよち歩きの頃のこと。

 私が油断したのだが、気がつくと、細いけれども車がぎりぎり離合できる道の幅の4分の1くらいのところに、無邪気な顔をした息子がいた。そしてそこに車がやってきたのを見て、私はなんのためらいもなく飛び出して息子を抱いた。

 今ここでこんなことを書いていられるのは、車がほんの数センチ手前で停車したからだ。

 あの後、どう思い出しても、そのときの私にはためらいはなかった。自分で、
 「私は、動物なんだなー。」
と心底感心した。

 怖いのに挫けずに飛び出したのではない。気がついたら飛び出していた。
 こんなことってあるんですね。

 息子を生む前、こんな設定の映画やドラマを見ては、
 「自分にはこんなことは出来ない。こんなことってほんとにあるのか?珍しいことだからドラマになるんじゃないか?美しすぎる・・・。」
と考えていた。

 それが、当の母親にとってこんなにあっけないことだとは・・・。

 同じ場面で飛び出さずにその場で固まる人もいるだろう。その人と飛び出した私との間には、「何かにそうさせられたという意味」で、違いはない。その瞬間には自分の意思はないのだ。

 飛び出したら二人とも死んでしまうところが、固まったために少なくとも自分は助かったということになれば、固まったほうがよかったことになる。

 私は、そんなことを、偉いだとか美しいとかという言葉で飾って欲しくないな、と思った。強いとも言って欲しくなかった。

 「私も子どもが欲しいな。」
ということも、そう思おうと努力したわけではなく、思ってしまったわけで、こんなこと、人に頼まれたり、世間体のために「しよう」と思ってするものではないし、出来るわけでもない。

 というのが私の実感です。
[PR]
by mayumi-senba | 2004-07-15 20:19 | 息子

「僕んち、借金があるの?」

 「僕んち、貧乏?」
と、息子が不安げに聞いたことがあった。
 小学校低学年のころ。

 「貧乏?お金持ちじゃないけど、貧乏ということもないと思うけど・・・。」
 「僕んち、借金があるの?」
 「うん、このおうちを買ったときに、お金を借りて、今も毎月少しずつ払ってるよ。」
 「え、借金があるの?」
 
 「誰かに何か言われたの?」
 「うん。」
 「お金持ちじゃないけど、お父さんもお母さんも、ちゃんと働いて毎月返していってるよ。だから大丈夫。」
 「・・・・・・・・・・・・・。」

 息子は腑に落ちていない様子だった。

 息子は、ほとんど全員が基準服と呼ばれる紺色の上下を着る学校で、
 「痒くて我慢できないから。半ズボンは遊んでいるときに、足がすれて痛いから。」
ということで、基準服は買ってあるにもかかわらず、自由服で通っていた。
 そのために上級生などから貧乏だと言われたらしい。

 自分が基準服を着ないことと、「貧乏」と言われることがどうしても結びつかないようだ。
 子どもって不思議な生き物だと、このときも思った。

 つい最近になって、そのことを思い出し、息子に憶えてるか聞いてみた。

 「うん。あれはね、テレビで借金取りが押しかけてきたところを見て、うちが貧乏で借金があったらどうしようかと思ったから。」
と笑いながら答えた。
 上級生に言われたことは覚えていないらしい。とにかくうちにも借金があるということで、結構長い間、借金取りがいつ来るかとおびえていたらしい。

 その、怖さに怯えていながら、それでも毎日毎日、遊びに遊んで毎日を過ごしていた息子の姿を思い浮かべると、目の前にいる息子が少し頼もしく思えた。
[PR]
by mayumi-senba | 2004-06-12 14:11 | 息子

闇の中で遊ぶ子

息子はとにかく睡眠時間が少ない赤ちゃんだった。

生まれて一ヶ月もたつと、夜に6時間寝ると、お昼寝はほとんどしない。子育て本に書いてあることや、先輩ママさんに教えてもらったことを試しても、だめ。

 「 あなたのやり方が下手だから寝付かないんだ。」
と、いわれるが、息子は睡眠時間が足りない赤ちゃんにはまったく見えない。
 
 ご機嫌で起きていて、そして元気にすくすく大きくなっていった。

 保育園では毎日お昼寝をするので、夜は一時や二時まで暗闇の中で遊んでいる。
 子守唄も、暗闇もなんのその。

 日曜になどはお昼寝をしないので、少し早めに夜12時ごろに寝る。

 それでも、保育園の先生から、よく、
 「お昼寝をなかなかしてくれないので困ります。」
と言われていた。

 
 私はたいてい息子よりも早くダウンしていた。
 朝目が覚めると、息子が私の横で寝ていて、そしてすぐに目を覚まして遊び始めるのだ。

 よくあれほど遊べるものだと感心するぐらい遊んでいる子だった。

 私はこの時点で、子育てのマニュアル本に見切りをつけることにした。



↑↑↑
そうそうと思ったり、面白かったと思ったときに押してください。


 
[PR]
by mayumi-senba | 2004-05-25 21:31 | 息子