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写真とビデオ、儀式に必要なもの。

 私は写真をとろうとかビデオに残そうということが頭に浮かばない人間だ。が、さすがに息子が小さなころまでは、私なりにはよく撮っていた。だから、息子の小学校の低学年くらいまでの写真はたくさんある。
 
 息子が小学校の3年生のころだろうか。彼がこっそりその写真やビデオを見ていることに気がついた。

 そこに写っているのは、夫や私に抱っこされたり「タカイタカイ」をされたりする自分、無心に砂遊びしたりかけっこしたりする自分。

 この子は今、自分が愛されていることを確かめたいのだと感じた。
 そしてこの写真やビデオで愛されている自分を感じてるのだと思った。

 私は赤ちゃんのときのように抱っこしてあげたい衝動に駆られたが、それは止したほうがいいと思った。せっかく彼が、赤ちゃんのように甘えたい気持ちを必死にこらえているのである。その、こらえている彼の気持ちを大切にしたかったのだ。

 それからしばらくの間、
 「母さん、一緒に寝ていい?」
といって、夜には私のベッドに入ってきた。何日かすると、
 「ぼく、もう一人で寝る。」
と言い、枕を持って自分の部屋に帰っていった。

 当時、私の知らない所で彼に何が起こっていたのか詮索しなかった。いまだにわからないままである。
あのとき、息子は自分で儀式を行い、「おさなご」から「少年」になったのだと私は思っている。



 
by mayumi-senba | 2004-04-11 07:21 | 息子
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