おそろいは合意がないと・・・。
以下の文章は、息子が中学2年生のとき、「通学服を考える会」というところからの依頼で書いたものです。後にも先にも、中学で先生にものを申したのはこれっきりです。 「子ども同士のことは自分で決着をつけるように。できないなら基準服を着ること。先生が説得ではなく、強制してきたら親に任せること。大人と子どもでは、同じ土俵で話ができずにキレテしまうから。 今回は大人同士の交渉をちゃんと観察しておくように。」 と、文中にありますが、このような機会を与えてくれた学校に感謝しています。 中学校自由服通学の顛末 仙波 眞弓 昨年の春、中学校の体育館で入学説明会があった。質問は、という時に、 「うちの子が、自由服通学をするといっています。親としては止める理由がないので、学校はそのつもりでいてください。」 と言うと、司会をしていた先生が、 「それは…。校長先生や指導の先生と…。」 とくちごもる。私は答えた。 「うちの子が基準服を着ないと伝えているだけです。許可を求めているのではありません。あまり例のないことでしょうから、あらかじめ親のほうから伝えておいたほうが混乱がないだろうと思って申し上げています。」 後日、校長から自宅に電話があり、話がしたいと言うので、入学式の後、時間を割いて校長室に行くと、校長と担任が待っていた。私は、 「このたびは、先生方にご面倒をかけます。」 と挨拶した。以下はそのときの会話。 学: 基準服のことですが、息子さんが自由服で通学したいといってるんですか。お母さんの意思ではないんですか? 私: 私はあの子に、「面倒だから基準服にすれば」、と言ってあります。小学校のときから、私が基準服を止めたことは一度もありません。ただ、あの子が言う基準服を着ない理由は、私にはまっとうに思えますので、止め立てはできないと考えています。基準服は制服ではなく、強制できないですね。 学: でも、学校には校則というものがありますから…。 私: 先生もご存知でしょうが、広島市では基準服は強制してはいけないことになっていますね。それを破ることになる校則そのものに、ルールとして整合性がないですね。 学: ですが、集団生活をする限り、ルールは必要です。 私: あの子が裸で授業を受けたりしたら、ぜひ注意してください。私も許しません。非常識ですから。でも、トレーナーにジーンズで勉強すると何か不都合がありますか。私は、集団生活にルールが必要だと思います。だから学校に通わせるんです。勉強だけなら、学校でなくてもできます。でも、そもそも作ってはいけないルールがあります。 学: 高校はたいてい制服ですが、困るでしょう? 私: 本人は、行きたい高校が制服なら、それが承知で入学するのだから制服を着用すると言っています。 学: 高校は嫌うでしょうね。もちろん私服通学をしていたから落とす、ということは言わないでしょうけど、違う形でね。茶髪のこが落とされてます。茶髪だから落としたとは言いません。まあ、本当に成績が悪かったのかもしれませんが。ところで茶髪についてはどうですか。 私: 高校の先生は、中学時代の自由服通学が、高校入学でネックになることはありえないと言われていますが。茶髪は許しません。そんなことは自分で稼ぐようになってからすればいいことです。 学: 我々は、ほかの子をどう指導すればいいんですか?なぜあの子だけ私服でいいのかと聞いてきたら、どう答えればいいんですか。 私: それは先生方で考えてください。私が考えることではありません。 学: ほかの保護者からのクレームにはどう答えればいいんですか。 私: 義務教育中の公立学校での通学服は、それぞれの家庭が考えればいいんじゃないですか。教育上ぜひとも必要なら、無料で支給するように先生方が運動してください。そこまで学校が何でも抱えることないじゃないですか。何もかも抱えたら大変でしょう。家庭の教育力の必要性がこれほど言われているのに。なんでも学校に任せる親が多すぎます。先生方もお困りでしょう。 教育は、家庭と学校が力を合わせることが大事ですよ。私もうちで教えるべきことはきっちり教えますし、先生方の要請があれば、うちの子のことでなくても私の時間をできるだけ割きます。子どもはみんなで育てないと。できることはやりますよ。 まあ、よその親御さんが、うちの子が自由服で通学することに文句があると言うのなら、私が対応しますから、どうぞ私に言えとおっしゃってください。私は、基準服を着せたい家庭に口出しもしませんが、同じ服装で通わせたいという趣味の人に、高い金を出して付き合う気はないです。 学: 上級生からいじめが予想されますが、学校としては責任がもてません。 私: それは困ります。学校の中や登下校中にうちの子が怪我をさせられるようなことがあったら、学校にも、その子にも、それ相応の責任を取ってもらいますから、そのつもりでいてください。黙っているつもりはありません。人と変わったことをしていたらいじめてもいい、などということを学校は教えませんよね。 学: いじめは、靴を隠す、というような犯人が特定できない陰湿なかたちでやってきます。 私: 一回目はいいです。靴でも教科書でも買い換えましょう。でも、その都度、同じことが二度と起こらないような対処をしてください。それでいいんですから。 学: 私服だとお金がかかって大変な家庭の子がいるんです。僕たちはそういう子達のことも考えなければならないんです。 私: トレーナーにジーンズを2枚ずつ、体育用のTシャツにズボン、全部合わせて1万5千円でした。バッグは小学校のときのものを使うそうです。学校指定のものだと、全部で5万円以上でしたね。 学: でも制服はリサイクルができるんです。 私: 自由服はもっとリサイクルしやすいです。同じ学校の先輩からだけじゃなく、いろんな人からいただくことができます。 先生、私はただ、こどもに自由服通学をさせると言っているだけで、学校のやることになんでも反対と言ってるんじゃないですよ。上履きは学校指定のを買いました。学年ごとの色違いだから、きっと先生が生徒を管理するのに便利でしょう。それぐらいなら付き合いますよ。私は、先生方といっしょに子どもを育てたいと思っています。 学: 基準服を着るように指導することはかまいませんか。 私: どうぞ。私はもともとそれでも別にいいんですから。基準服を買う程度の経済力はあります。ただし、強制はできないはずですね。説得はどうぞ。あの子にとっても、物事を考えるいい機会になるでしょう。 息子には、次のように言って聞かせてあった。 「子ども同士のことは自分で決着をつけるように。できないなら基準服を着ること。先生が説得ではなく、強制してきたら親に任せること。大人と子どもでは、同じ土俵で話ができずにキレテしまうから。 今回は大人同士の交渉をちゃんと観察しておくように。」 あれから一年。上級生からの嫌がらせもあったようだが、受けてたったり流したり、また、キーパーソンとの関係を作ったりしながら、元気に学校生活を楽しんでいるようだ。先生たちとも、結構いい関係を保っている。 楽しみにしていた他の保護者からのクレームは、全くない。
by mayumi-senba
| 2005-10-10 08:29
| 息子
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