恋するカマキリ

 カマキリのメスは交尾のあとオスを食い殺す。

ということを聞いたことがある。私は、ほんもののカマキリを一度だけ見たことがあるが、瞬時に10メートル離れた地点にワープしたし、そもそも、もしじっくり見たってオスかメスか判別する能力を持たない。

 で、カマキリのメスが何故オスを食い殺すのか。

 他のメスに取られたくない。とられるくらいなら殺してしまおう、ということなのか。
 ただ単に、虫の居所が悪い、その気になれない気分なのに無理やりいどまれたため、怒りのあまり食いちぎってしまったのか。
 それとも、するべきことを済ませたら、今後子そだてに協力するものやらせんものやら保証がないのだから、ここで手切れ金と養育費代わりにエサとしていただいておこうということなのか。
 
 ものの本によると、最後が一番近いようにも思うが、これも違う。

 カマキリのメスは、カマキリのオスを自分が恋すべき相手として認識できないらしい。
 ではなんだと思っているのか。
  
 エサ、なんだそうである。

 カマキリのオスは、自分のことをエサだと思っている個体に恋をすることになる。
 セツない話ではありませんか。

 カマキリのメスは、視野に入った適当な大きさのものでかつ動くものをエサと認識する。その中にオスも含まれる。オスとメスが戦うべくして戦ったらどっちが強いかわからないけれど、オスはひとつ余計なことを、しかもかなり無防備な体勢をとらざるを得ないことをしなければならない。

 というわけで、メスの後ろから近づき、メスが頭を動かして、自分が彼女の視野に入らない時だけ近づき、視野に入った瞬間に固まる。これを繰り返し、遂に敵陣に入ったら、ミッションを瞬く間に終わらせる、らしい。

 この間メスは、一体何が起こったかよくわからないまま時が過ぎ、ある日、おなかが膨れてきて卵を産む、ということになる。

 たいがいのオスは彼女がわけがわからないできょとんとしている間に猛烈ダッシュで逃げるため、一命を取り留めるが、どんくさい不運な個体が、
 「ああ、飛んで火にいる夏の虫」
と思ったメスにくいちぎられる。
 頭を食いちぎられたオスはそれでも腰を動かしている。
 ・・・・・・らしい。

 それでも私は、恋心を知らないで、きょとん、で終わってしまうメスのほうがかわいそうな気がするのです。
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by mayumi-senba | 2004-09-03 20:37 | その他
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